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≪連載・・・『定義を定義する』@≫

☆Vo.1 ロジカルルシンキングは仕事に直結する?☆

〜現場の話題、落とし穴、失敗などに注目して考えるコラム〜

『仕事で使う思考力とは?』
巷でブームのロジカルシンキング。クリティカルシンキング、論理的思考、概念的思考、戦略的思考など、様々な呼び方で多少変形されているものを含めて、正しい思考回路を持つことは確かに重要ですよね。

ただ、企業の教育担当者とお話をするなかで気付いた点があります。

それは、『実際に仕事の中で、具体的にどうこのロジカルシンキングを活用し、結果につなげていけばよいか。』また、『逆に仕事上で結果を出す上で、どの部分がどれほど必要なのか』について、具体的にイメージを沸かせている方は少ないことです。

これも本来の教育の目的から考えると、このロジカルシンキングを学ぶことで「どう直接的に売上増または経費削減につなげていけるか」という組織の最終目的から、その為に必要な教育体系と現場の仕事の流れを結び付けて設計していくことが必要だと思います。

にもかかわらず、実際には「教育」となった時点で思考停止し、ロジカルシンキングは仕事をしていくための基礎スキルなどとオブラートに包まれてしまい、単なるお勉強としてうやむやになっているケースが多いようです。 

『現場における事例』
実際、先日ある企業の教育担当者とこの話題が出ました。『(某企業人事担当者)仕事上で結果を出すためには思考のルール(ロジカルシンキング)を組織で共有することは大前提だと思います。ただし、このロジカルシンキングを社員が勉強し、理解しても全員が確実に従来よりも大きな結果を挙げているわけではないから、どこまで力を入れるべきか悩みどころで難しい・・・』。 

これは、ロジカルシンキングと結果の間には因果関係がない、ということを意味しているのでしょうか? 

いいえ、結論から言うと、ロジカルシンキングが不必要なのではなく、その企業の環境に合わせて、どの程度、どのような設定で、どうロジカルシンキングをマスターさせるべきか、という『超』具体的な目的が担当者レベルでもバラバラである場合が多いようです。 

つまり、ここで『ロジカルシンキング』、『仕事』、『マスターさせる』というそれぞれの内容の定義を受講者は勿論、教育担当者であっても咀嚼されないで各々自分の主観の中の定義でただ研修を走らせていたようです。

つまり、受講者独自のあいまいな定義によって、理解(をしたと思い込んでいる)のレベルも、具体的な目的も個人差がでて、結果にも差がでたのでしょうね。

でも、この個人差の問題って、ロジカルシンキングの問題だけでなく、全てに共通する非常に重要なことだと思いませんか? 程度問題、つまりあることを考える前提(定義)の問題ですよね。

『前提(定義)によるくい違い事例』
『おなかが満腹になるまでラーメンを食べてしまった』と聞いて、全ての人が大盛りを食べたと思い浮かべるわけではないですよね。

大盛1杯だと思う人もいれば、2杯、5杯と思う人もいる。

さらに中華街の小さなお碗に入ったラーメンなどお店ごとにボリュームが違うとなると、既に基準となる1杯の普通盛りの量が、普通の店の大盛以上あったり・・・・

そもそも『普通』ってどのくらい・・・と延々と・・・

つまり、仕事をしたり、教育をしたり、相手とコミュニケーションをとったり、何らかの取り組みをしようと思うときには、常にものごとの前提(定義)が共有され、モニタリングされる必要があるのですよね。

当然、日常生活で妥協することなくこの定義を明確にコミュニケーションをとろうとすると嫌われます。

『あーこのラーメンおいしかった』という友達に対して『あなたにとってのおいしい定義は何? 麺の固さは?あっさり系?こってり系、どのくらいこってり?胸焼けがするくらい?胸焼けの程度は?食後30分で吐きそうになるくらい?・・・』などなど・・・

『前提(定義)の優先度を考える』
一方で、この物事の前提(定義)を決めるということは、仕事をする中では、形だけのフレームワークや表面上の理論を使うことの何倍も重要なことですよね。

皆さんこの『定義』(または議論する前提)の重要性はわかっていながら、これに対する重要度、優先度が低いと思いませんか?

ご飯を食べて満腹になるボリュームやレストランで出てくるパスタに対する期待の大きさが、父親が持つ満腹感の量や期待のレベルと異なるものであったり、一口に「頑張れ」といわれても、その頑張り具合(どこまで頑張ったところで頑張ったといえるか)が人によって異なるのは当然ですよね。

 同様に、ロジカルシンキングを『理解・実践する』といっても、『どのレベルまで理解していて、どの程度環境に応じて掘り下げて具体的に実践することが必要なのか』といった理解や、実践レベルの定義によって異なるんですよね。

 次号では、実際に『結果を出すために仕事で必要な能力』について、ゼロベースで考えながら、ものごとの定義(前提)についてみて考えてみます。

※本コラムに関するご意見はこちらまで gwp@global-taskforce.net

*Vol.2『できる(はずの)ビジネスマンができない理由』へ


〜現場の話題、落とし穴、失敗などに注目して考えるコラム目次〜
通勤大学MBAシリーズその他の執筆を行うグローバルタスクフォースの編集部によるコラムです。体系的な知識や理論の整理を目的とするGTFの書籍群に対し、より実務的で現場よりのトピックを提供します。
※本コラムはメンバー向けのメールマガジンの中のコーナーを加筆修正したものです
Column1☆Vo.1 『ロジカルルシンキングは仕事に直結する?』☆ 
連載“定義を定義する@”≫ 
Column2☆Vo.2 『できる(はずの)ビジネスマンができない理由??』☆
連載“定義を定義するA”
Column3☆Vo.3 『ハーバードの落ちこぼれ??』☆
連載“定義を定義するB”
Column4☆Vo.4 『キレるマネージャ??』☆
連載“謙虚さを自問する@”
Column5☆Vo.5 『職務成績 or 人間関係?』??☆
連載“謙虚さを自問するA”
Column6☆Vo.6 『謙虚さVSプロフェッショナリズム』?☆
連載“謙虚さを自問するB”
Column7☆Vol.7 『実力 vs. 信頼 』?☆
連載“信頼される力とは@”
Column8☆Vol.8 『義理 vs. 論理的行動』☆
連載“信頼される力とはA”
Column9☆Vol.9 『朝令暮改 vs. 首尾一貫』?☆
連載“信頼される力とはB”
Column10☆Vol.10 『目的を考えないで突っ走ってしまいました症候群』?☆
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Column11☆Vol.11 『誰によって最善か』?☆
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Column12☆Vol.12 『お客さまは神様でない!?』?☆
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