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LEADERS INTERVIEW
「自分がコミットしたゴールを
目指すからこそ、成長できる
フィールドを求めている」


新華ファイナンスジャパン株式会社
代表取締役社長
石塚孝一氏

<<リーダー・プロフィル>>
1971年生まれ。93年米国サウスウエスタン大学卒業(学部を2つ専攻、飛び級して2年で卒業)。同年、米系金融情報会社の日本法人トムソンコーポレーションジャパンに入社。97年ロイター通信社に入社し、事業推進部長、マーケティング部長、営業推進部長などを歴任する。同社在籍中、青山ビジネススクール(青山学院大学大学院国際マネジメント研究科)にてMBAを取得。2004年ライブドアに同社が買収した中国系企業の社長職でと誘われ会社に参加。その後、05年中国系金融情報サービス会社である新華ファイナンスジャパン副社長として入社。06年若干34歳にして同社社長に就任する。

<<企業プロフィル>>
▲中国の金融情報会社、新華ファイナンス・リミテッド(東京証券取引所マザーズ上場、事業本部は上海)のグループ企業。「インデックス」、「格付」、「ニュース」、「IR・PR」、「海外ニュース・リリース配信サービス」などの金融情報サービスの提供、日本企業の中国進出のコンサルティングサービス、日中間のビジネスコンサルティングサービスを手がける。http://www.xinhuafinance.co.jp


――米系金融情報会社の日本法人がスタートラインでした。


 「当時は新卒だったのですが、卒業して帰国した際にヘッドハンターから提案されました。日本オフィスはまだ少数だが、世界レベルの金融情報会社だけに可能性は大きいはずだと。自分でも英語とコンピューターという強みを生かすなら、米系企業が最もストレートだと思っていましたから、すぐに承諾しました」
 「上司に恵まれましたね。何しろ、ダブルマスター(2つの修士号)でロースクール進学という学歴の上司ですから、とにかく優秀なのです。ビジネスマンとしての基本を厳しく鍛えこまれたことを覚えています。なかでも、仕事の優先順位の付け方は徹底して教えられました」


――ロイター通信社では、29歳で史上最年少の部長に就任されました。いよいよファーストトラッカー(fast tracker)の道を歩んでいくことになります。

 「ロイター通信社の東京オフィスは外資系とはいえ、本部長である英国人を除けば部下は日本人がほとんどでした。しかし、半分は自分よりも年長です。年齢など関係ないと言っても、相手にはどうしても割り切れない部分はあったことでしょう。しかし、自分としてはただ業務を執行するだけでした。それでも組織と人のバランスには、配慮するようにはしていたつもりです」
 「結局、ロイターには7年間在籍し、様々な役職を務めました。世界各地に拠点を持つグローバル企業において、リーダーとしての大変さを若くして経験できたことは、その後の自分にとって価値あるものであったと確信しています」


――その後、ライブドアにヘッドハントされます。堀江貴文氏はどのようなリーダーとして映りましたか。

 「優秀なリーダーです。ディシジョン・メイキングがとにかく速い。迷いませんね。情報収集能力に長けているのでスピーディーな判断ができるのでしょう」
 「その一方、シャープであるが故に、社員に対する接し方はどうしても冷たい印象を持たれがちでした。自分はバランスを取るタイプでしたから、世の中にはこういうリーダーもいるのかとスタイルの違いを何度も痛感したものです」


――ライブドアから新華ファイナンスジャパンへの転進は、かなりスピーディーだったのでは。

 「在籍期間はわずか五カ月だったかと思います。当時は組織の脆弱(ぜいじゃく)さを強く感じましたし、次の会社のほうが学ぶことがはるかに多いと考えました。正直、新華ファイナンスはロイター在籍中にヘッドハンターから既に紹介されていましたので注目はしていましたし、ちょうど中国語を勉強し始めていた矢先でしたのでこれも縁ではと思ったのです。ビジネスパーソンは縁と人を大切にすべきだというのが自分の信念です。自分の実力だけでは限られてしまいますからね」


――次世代のリーダーを目指す読者に向けて、何かメッセージをお願いします。

 「物事をボトムアップで考えることでしょうか。人間はどうしてもトップダウンに慣れがちですから。自分の目標を思い描き、何をすべきかバックデートしていくことは重要です。今こうだから、次はこうなるではなく、いつまでにこうなりたいから、次はこれをしなければならないとコミットメントすべきだと思います。そして、リーダーとマネジャーの役割を勘違いしないこと。統率者と管理者では求められる要件は根本的に異なります」


――最後に、ご自身について5年後のイメージを聞かせてください。

 「社会的な影響を与え得る超一流のCEOになっていたいですね。もちろん現在は経営者として新人に過ぎませんが色々な経験を積み重ね、エッセンスを吸収していくつもりです。その為には、越えなければならないハードルが多いことは十分に承知しています。いつでも縁と人に重きを置き、常に時代の流れを見極めながら気合いと根性で行動していきたいと考えています」
 「実は、アカデミックや教育の方向にも強い興味を持っています。最近書いた企業戦略の論文が日本と海外両方の学会に取り上げられました。今後は経営者としての自分の見識や体験を教育の場などで生かせる機会を持つことができれば良いなと思っています」

(取材・文 袖山 俊夫)
日経BizCEOは、日経Bizキャリアと世界最大の公式MBA組織日本支部を兼務するグローバルタスクフォース(GTF)の共同サイトです。

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